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護摩について

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護摩について


護摩とは本来の意味は「焼く」という意味で一切の穢れ、不浄、悪事、災難を焼き尽くし、清浄で美しい幸福な状態にすることであります。

人間の心の本質は、美しい仏心(仏様の心)なのでありますが、生活しているうちに、知らず知らず環境の悪さに染まって、自然に心が汚れてまいりまして、人様の前では話すことの出来ない様な汚い事を考えていまいます。
また、人間の言葉はもともと清らかなものでありますのに、腹が立ったといっては他人を罵り、自分が良い地位を得ようと人の悪口をいい、罪を逃れようとして嘘をつき、うまい儲けをしようとして心にもないお世辞を使ったりして、毎日毎日の言葉が穢れたものになってきます。

それから人間の行動というものは本来正しいものでなければなりませんが、人が見ていませんと怠けたり、つい欲が出て人の物をごまかしたり、野心を達する為に人を押し退けたり、誠に浅ましい事をします。

このように考える事、言う事、行う事が汚れはてたものになるのは、正しい道理がわからない、暗い心から出発しているので、そのために健康を求めながら病気になったり、思わぬ怪我をしたりします。
豊かな生活を望みながら、信用をなくして貧乏したり、皆と仲良くしたいと思いながら、毎日喧嘩をせねばならぬようになったり、幸福にあこがれながら不幸を嘆いて一生を暮らすことになります。

真言宗の教典の大日経琉という本に「火の自性とは即ち是如来の一切の智光なり」と説いてあります。如来様の智慧の光を戴く事に依って、迷いの闇を照らし汚れたものを焼き尽くして、心を清浄にし、言葉を美しくし、行いを正しくいたしますと、自然に生活がよくなって幸福が訪れてくるものであります。そこで護摩をたいて、一切の穢れたものを焼きつくすのであります。

この護摩には内護摩外護摩とがあります。
「内護摩」とは精神の智恵の火を燃やして人の心の中の無明煩悩を焼き尽くして菩薩の境にいたるものであります。
「外護摩」というのは、、壇を築き炉を設け、壇木を燃やして真言を唱えながら供物を炉中に投じて供養し、百八支の乳木を焼いて人間の心の中に生ずる百八の煩悩(迷い)を焼き尽くすのであります。

ただ物を焼いて灰にするだけのことならたき火と変わりませんが、護摩の火は悪いものや汚れたものを一切焼き清めまして、その後に清らかな善い芽を生やすものであります。その芽とは悟りの芽であります。

この外護摩には一に本尊、二に真言、三に印がそろわねばなりません。
一の本尊とは、言うまでもなく不動明王で、二の真言とは炉(火をたく所)であります。この本尊と炉と行者とが平等の立場において三位一体となるのであります。この場合、本尊は意業(心のおこない)炉が語業(言葉のおこない)行者が身業(体のおこない)となりまして、身口意(体と言葉と心のおこない)の三業が淨められ、それぞれの願いが成就する事が出来るのであります。

次に祈祷は四つに分けられます。
より健やかに生きたい(息災法)
より豊かに生きたい(増益法)
より和やかに生きたい(敬愛法)
より安らかに生きたい(調伏法)
これを四種法と申しまして、この四つを祈る事ができます。

なおこの外護摩には、本堂で焚く護摩壇と、外で焚く柴燈(さいとう)護摩があります。

柴燈(さいとう)護摩とは、大地に壇木で炉を作り、薪を積み上げ、桧の葉をおおい、火をつけて中央の炉に不動明王を始め諸仏諸神をお招きし、種々の供物を捧げ、色々なお願いを申し上げ、転禍為福、つまり災いを福に、悩みを喜びに変える祈祷のお勤めでございます。
昔から護摩を焚いて国事を祈れば、国運隆々として火の燃え上がるごとく盛大となり、家事を祈ればその家の家運、炎々として炎の燃え上がるごとく栄え、人事を祈れば、その人の運気は熨々として白熱のごとく強烈となり、いかなる障害や邪魔も滅尽くせしめると伝えております。
即ち運気が、燃え上がる護摩の焔のごとく、盛んに燃え上がるのであります。運気の沈んだ家や人の事をよく「火が消えたようだ」などと申しますが、生命力の火が消えてしまいますと、これはもう家も人もおしまいです。陽の気を失うと、人は陰気になって運が悪くなったり、弱くなったりして、とうてい人に負けぬよい働きは出来ません。落胆し没落するばかりです。
陽極は火で、法力の火でもって陰の気を追い払うのです。

どうか特別祈祷や添護摩を申し込まれ、家の運気やご自分の運気を護摩の火の燃え上がるごとく盛んにして頂くよう御参りくださいませ。
なお、特別祈祷や添護摩し申しますのは、皆様方のお願い事、お名前を書いた添護摩木を、大祇師を始め諸衆によって一々読み上げ、お加持をして本尊様の護摩炉に投入し、お不動様の火によって浄化し、お願いをかなえていただきます。
また護摩の終わりに火生三昧(火渡り)を行いますので、みなさまもどうぞお渡り下さいますようお願いいたします。

           求菩提山 南龍院 光明寺 住職 今村照憲
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テーマ: 宗教 -  ジャンル: その他
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